- トップ
- Ninomiya通信
- 補償導線のご紹介(実験コーナー 番外編~その2~)
実験コーナー
2021.05.13
補償導線のご紹介(実験コーナー 番外編~その2~)
5月の実験コーナーも、先月に引き続き番外編として、弊社の補償導線を簡単にご紹介致します。
補償導線は、先月ご紹介した熱電対と併せて使用します。
ぜひ、先月の実験コーナー番外編(熱電対のご紹介)もご覧いただけますと幸いです。
・補償導線とは
補償導線は、熱電対と温度計測器をとの間を接続する専用のリード線(延長コード)です。
・使用方法
シース熱電対や保護管熱電対、被覆熱電対線と接続し、温度計測器まで配線します。
・補償導線選定のポイント
補償導線選定の主なポイントは以下の4点です。
- 補償導線は、熱電対と同じの種類を使用する事が必須です。
熱電対と補償導線の種類が異なったものを使用した場合、正しい値が示されず、誤った温度を表示します。
※熱電対と補償導線の種類が異なったものを使用した際の実験を以前に行っています。
以下、URLよりご参照ください。
https://www.ninomiya-ew.co.jp/information/689/ - 補償導線は、JIS C 1610‐2012およびASTM E230で以下の内容等が規格化されています。
①導体材質
②識別(色分け)
③熱電対と補償導線を接続する箇所の温度(補償接点温度)
④補償導線自体の許容誤差 等弊社では上記規格に準拠した補償導線を製造しております。
※補償導線の種類・識別・導体材質に関する一覧表は下記よりご確認頂けます。
https://www.ninomiya-ew.co.jp/product_cat/tew/ - 材質
熱電対で測定する温度ではなく、補償導線を配線する周囲温度に応じて選定します。
ここでは、弊社で扱っている代表的な被覆材質5つをご案内致します。・PVC(90℃耐熱ビニル)
補償導線の中で一番安価で一般的な絶縁材料です。・ガラス
PVCと同様に一般的な絶縁材料です。PVCよりも耐熱温度が高いです(耐熱温度:150℃)
ただし、擦れや摩擦、振動に弱い特徴があります。また、吸湿性がある為、湿度・水気のある場所での使用は不向きです。・ふっ素樹脂
ふっ素樹脂は、耐熱耐寒性、耐油耐薬品性などあらゆる点で優れた性質を有した理想的な絶縁材料です。ただし、少し価格が高いデメリットがあります。・シリコーンゴム
シリコーンゴムは、耐熱・耐寒性、可とう性に優れた絶縁材料です。
ただし、引き裂きに弱いデメリットがあります。・耐屈曲用
耐屈曲性・柔軟性に非常に優れており、射出成型機やロボット等の可動部の配線にお薦めです。 - サイズ
補償導線は一般電線とは異なり大きな電流を流す事は出来ません。
この為、電流値によってサイズを決める事はなく、理論上はどのサイズを使っても問題ありません。 ただし、長距離配線をする場合は、補償導線の往復導体抵抗値が計器の受け入れ可能な抵抗値をオーバーしないようご注意ください。
〇補償導線の材質選定について
最後に、一般的な使用環境の場合の補償導線の材質選定例をご紹介します。
例:
熱電対で400℃の温度測定を行う
熱電対と補償導線を接続する箇所の温度:40℃
補償導線を配線する箇所の温度:常温→補償導線を選定する際は、熱電対で測定する温度ではなく、①熱電対と補償導線を接続する箇所(補償接点温度)や②補償導線を配線する温度が対象となります。
上記のケースでは、①②共に90℃以下である為、特別な環境でない場合はPVCを使用する事が妥当であると考えられます。
〇まとめ
-
- 補償導線には種類がある。
- 補償導線は熱電対と同じ種類を使用する事が必須。
- 補償導線の選定の基準となる温度は、測定したい箇所の温度ではなく、熱電対と補償導線を接続する箇所の温度。
ご不明な点、弊社製品についてご相談したいこと等ございましたら、ホームページ右上にあります
[お問い合わせ]よりご連絡をお願いします。
次号もお楽しみに。