二宮電線工業株式会社 Ninomiya Electric Wire Co.,Ltd.60th Anniversary

INFORMATIONNinomiya通信

実験コーナー

2022.07.13

中間金属の法則(後編)

2022年も月に1回、お客様よりお問い合わせをいただいている内容について、
実際に実験を行い、その結果をご紹介しております。

今回は、弊社ホームページのお問い合わせより
初のリクエストを頂きましたテーマを取り上げます。

今回のテーマは「中間金属の法則(後編)」です。

まず、中間金属の法則のおさらいです。

〇中間金属の法則とは

『中間金属の法則』は、熱電対の中間に異種金属が入った際の法則で、
異種金属の両端の温度が等しければ温度測定に影響を与えないという法則です。
(下図参照)
異種金属の両端の温度が異なる場合は、温度測定に影響を与えるということになりますが・・・。
果たして、これが正しいのかを今回は検証していきます。


今回の実験は、実際に以下の4種類の回路を作成し、温度の測定を行う。
①-a 熱電対の中間に補償導線を入れ、両端に温度差を与えない場合。
①-b 熱電対の中間に異種金属を入れ、両端に温度差を与えない場合。
②-a 熱電対の中間に補償導線を入れ、両端に温度差を与えた場合。
②-b 熱電対の中間に異種金属を入れ、両端に温度差を与えた場合。

〇中間金属の法則
①-a:測定温度:100℃(接続両端に温度差がない場合)

①-b:測定温度:100℃(接続両端に温度差がない場合)

例②-a:測定温度:100℃(接続両端に30度の温度差がある場合)

例②-b:測定温度:100℃(異種金属で接続両端に温度差がある場合)

〇使用製品
・熱電対
①K型被覆熱電対線 ふっ素樹脂FEP被覆仕様 0.65×1P K-6F=F(+:赤/-:白)
②シート状熱電対Kタイプ NSMV-K-P02
③銅線 0.32mm AC(被覆色:赤)

〇検証方法
①シート状熱電対+補償導線(被覆熱電対線で代用)を使用した配線
②シート状熱電対+異種金属(今回は銅線)+補償導線(被覆熱電対線で代用)を使用した配線
上記2つの配線で温度を計測し、温度誤差が生じるか確認する。
今回は、ホットプレートの温度を測定する。(設定温度200℃)
なお、今回は安定的な測定を行う為、ホットプレートの温度測定は、シート状熱電対で行う。

〇実測
■シート状熱電対での温度測定(補償導線を介さず計器まで配線)
結果:187.3℃
※ホットプレートの設定温度は200℃ですが、放熱やホットプレート自体の温度分布の影響もあり、計測温度は設定温度と異なります。

①熱電対+補償導線を使用した配線
結果:187.8℃

②熱電対+銅線+補償導線を使用した配線
結果:187.4℃

200℃の温風を以下の接続箇所へ当てる
①熱電対+補償導線の接続箇所
②熱電対+銅線の接続箇所

①熱電対+補償導線の接続箇所を温風を当てる
スタート時:186.4℃

①熱電対+補償導線の接続箇所を温風を当てる
30秒経過時:187.6℃
→若干の温度変化が見られた。

②熱電対+銅線の接続箇所を温風を当てる
30秒経過時:188.9℃

②熱電対+銅線の接続箇所を温風を当てる
30秒経過時:240℃

→大幅な温度変化が生じた。

〇考察

上記法のとおり、回路中に銅線(異種金属)を配線すると、両端の温度に差があった場合に正しい温度が表示されない事が証明された。
また、同一金属(補償導線)を配線した場合は、両端の温度に差があった場合でも
温度測定への影響は発生しない事が分かった。
以上より、熱電対と温度計測器の間の配線には補償導線を推奨致します。

なお、結果における上記値は、あくまでも今回の実験結果の値であり保証値ではありません。

次号もお楽しみに。